ドラマ『おもひでぽろぽろ』ネタバレと感想│10歳の自分にもらった「希望」の光!

にこ

今回は、2021年1月9日放送『おもひでぽろぽろ』のネタバレあらすじと感想をまとめました。

スタジオジブリでアニメ化もされた『おもひでぽろぽろ』が実写ドラマで登場!

 

64歳になったタエ子(松阪慶子)のもとに、娘の夏希(杏)と孫のみずき(横溝菜帆)が引っ越してきた。

 

みずきと暮らすうち、小学生の頃のことを思い出したタエ子は、もう1度夢に向かって走り出す。

 

それは役者として舞台に立つことでした!

 

「学芸会」に「初恋の人」、ちょっと「苦い思い出」まで、酸いも甘いもぽろぽろと。

 

あなたも小学生時代のことを思い出してみませんか?

それではさっそく、『おもひでぽろぽろ』のネタバレあらすじをご紹介したいと思います。

 

『おもひでぽろぽろ』のネタバレあらすじ

令和2年9月。

杉本タエ子(松坂慶子)のもとに、娘の夏希(杏)と孫のみずき(横溝菜帆)が引っ越してきた。

 

夏希はシングルマザーで、バリバリのキャリアウーマン。

仕事が忙しくて、食事はレンジでチンで済ますことも多い。

 

それを聞いたタエ子は『あんた、何やってるのよ。お父さんが聞いたら悲しむわよ~!』とさっそく小言を言い始める。

タエ子の夫・正伸(浅野和之)は洋食屋で、現在、病気で入院中なのだ。

 

でも実家に帰れば、味は濃いけどタエ子もご飯を作ってくれるし、夏希も料理する余裕ができるだろう。

 

『これからはどんなに忙しくても、週2回作りなさい』

『言われなくたってやります!今日だって作ったし!』

そう言って夏希は、つゆにつけた引っ越しそばを見せる。

『あんたがやったのは、おそばゆでただけね~』

 

そんなこんなで、3人の賑やかな共同生活が始まった。

 

出番は少なくても…

小学5年生のみずきは、もうすぐ学芸会。

演目は「強盗タイム団をやっつけろ」。

でもみずきの出番は少ないし、セリフも1つだけ。

 

けど『だめよ!そんな心意気じゃ!』と、タエ子は声を張り上げ、みずきの前に座って身振り手振りを交えて熱弁を振るう。

『いい?一瞬 一瞬を大事にしなきゃだめ!舞台上で生きることが大事よ』

 

タエ子は女優でもないのに、役をつかむコツを伝授した。

 

タエ子の女優魂

それは昭和41年9月にさかのぼる。

タエ子(稲垣来泉)が小学5年生、10歳の時だ。

 

学芸会で「こぶとりじいさん」をやることになり、タエ子の役は「村人1」。

セリフは村の子の中では1番多いが、

『あっ、カラスがおうちに帰ってゆくわ!1羽~!』というだけ。

 

それでもタエ子は嬉しそうに、母・芙美子(鶴田真由)や2人の姉たちの前で何度も何度も演じてみせた。

 

学校で他の子たちが練習している間も、タエ子は登場シーンをどうするか熱心に考える。

でも他の子たちに相談しても、『なんでもいいよ』とやる気がない。

 

『よくないよ!あ!石けりとか、どう?石けりなら、わ~と出てこられるし!』

タエ子は思わず大声を出し、先生に怒られてしまう。

 

結局、今日の練習でタエ子の出番はなく、下校中も家に帰ってからも、タエ子は『あ!カラスが帰っていくわ!』と特訓を続けた。

 

そしてようやくその練習の成果を披露するときがやってきた!

 

『わ~~~~!』と両手を広げ、タエ子を先頭に元気に登場する村の子たち4人。

『あっ、見てごらん。カラスがおうちに帰ってゆくわ。1羽!』

『2羽!』

『3羽!』

『4羽!』

みんながわらわら去っていく中、タエ子だけは

『さよなら、カラスさん、気を付けてね~!』と空を見上げ、手を振って、石けりをしながら退場。

 

『はい、とてもよくできました』

先生に言われ、タエ子はどんなもんだいと胸を張った。

『けど岡島さん。台本にあるセリフだけを言いましょうね』

それを聞き、タエ子は肩を落とし、じっとその言葉の意味を考えた。

 

その日の夜、あれだけ騒がしかった家はとても静かで、タエ子の声は聴こえない。

不思議に思った姉たちが母に尋ねると、タエ子は「演技の方向性がわかった」と言っていたらしい。

 

そして学芸会当日。

母と姉たちが見守る中、「こぶとりじいさん」が始まった。

 

『わ~~~~!』

みんなと一緒に元気に飛び出してくると、

タエ子は自分のセリフの時にステージの前に出た。

 

『1羽!』『2羽!』『3羽!』『4羽!』

『わ~~~!』

タエ子はみんなと一緒に戻る途中で、ふと足を止めて振り返り、空を見上げ、カラスに向かって手を振る。

 

その演技はみんなに大絶賛され、タエ子はステージの上で拍手と歓声を浴びる達成感を味わった。

 

夫の願い

小学生のみずきといると、あの頃の想い出を鮮明に思い出す。

しあわせな想い出がいっぱいあったな~と。

 

そう生き生きとした顔で語るタエ子を見て、

入院中の正伸は『これからは好きなことをやりな』と微笑む。

 

40歳のとき、突然洋食屋をやりたいと脱サラした夫を、タエ子はずっと支えてきた。

でもこれからは新しい喜びや楽しみを見つけてほしい。

 

『ありがとう。でも、今は自分の体を心配してください』

仲良し夫婦は、マスクをしてソーシャルディスタンスを保ちながら、投げキッスをかわした。

 

パイナップルの苦い思い出

一方、夏希は、みずきの学芸会の日に出張を頼まれ、迷う。

今日の夕食は、夏希の担当。

帰りに八百屋さんでパイナップルを見かけた夏希は、それを使って酢豚を作る。

でもタエ子は、パイナップルが大嫌い。

 

小学5年生の頃、ミホコちゃんというアメリカに住んでいた女の子がいて、お父さんのことを「ダディ」と呼んでいた。

アメリカではお父さんのことを、「タエ子」とか「ヤエ子」のように下の名前で呼ぶらしい。

そしてバナナではなく、生でパイナップルを食べるのだ。

 

そこにちょうどよく、父・建造(高橋克実)がバナナを買って帰ってきた。

『お~!お帰りなさい、ケンゾー』

『…ケンゾー?』

『ねえねえ、ケンゾー。明日、パイナップルを買ってきて。缶詰のじゃないよ』

 

タエ子が建造にせがむと、建造はうるさそうにしながらも翌日、銀座のデパートで本物のパイナップルを買ってきてくれた。

そうとう高かったに違いない。

ⒸNHK『おもひでぽろぽろ』 オリコンニュースより

3姉妹たちは恐る恐るパイナップルを観察し、1番上の姉・ナナ子(森迫永依)が包丁で切ることに。

どんなふうに切るのかもわからないが、とにかく上の部分をざくっと切る。

その匂いをかいでみると、とってもいい匂いで期待が高まる岡島家。

 

でもそのお味は?

『…硬い』『全然甘くないよ』『酸っぱい』と、さんさんたるもの。

それ以来、タエ子はパイナップルが嫌いになってしまったのだ。

 

第二の人生

©NHK『おもひでぽろぽろ』 オリコンニュースより

そんな中、タエ子が気になっているのは夫の言葉。

『これからは自分の好きなことをしろよ』と急に言われても、何をしたらいいものか。

1人で温泉なんて行っても、淋しいだけだし…。

 

タエ子が「第二の人生」とネットで検索してみたところ、劇団年輪座という劇団で、シニア限定のオーディションが行われていた。

これが旗揚げ公演で、演目はシェークスピア、未経験者大歓迎だという。

 

それを見て、タエ子は『なにこれ、やだ~!』と心を躍らせた。

 

算数とタエ子

そんなタエ子は、勉強が大の苦手。特に算数…。

 

ある日、算数のテストで25点を取ったタエ子は、前の図工の時間に「吹き絵」を頑張りすぎて頭が痛くなったからだと母に言い訳した。

(吹き絵とは、画用紙に絵の具を垂らして、ふ~っと吹いて模様をつくるもの)

 

母は姉のヤエ子(原菜乃華)に教えてやってほしいと頼むが、『分数の割り算なんて分母と分子をひっくり返してかければいいだけじゃない』とヤエ子はあきれるばかり。

 

でも、そもそも「分数で分数を割るとはどういうことなのか?」

なんでも真面目に考えてしまうタエ子にとっては、大問題だ。

 

『3分の2個のりんごを、4分の1で割るっていうのは、

3分の2個のりんごを、4人で分けるっていうことじゃないの?

だから1人、12分の2個で、約分して6分の1個』

 

タエ子が言うのを聞き、思わず納得しそうになるヤエ子。

でもそれは、掛け算だ!

 

『ねえ、どうして掛けるのに数が減るの?』

『どうしてもこうしても、分母はそのまま。割り算はひっくり返すって覚えればいいの!』

 

それでもタエ子は、もらったりんごをザクザクフォークで切りながらずっと考え続けた。

算数の仕組みが、タエ子には本当にわからなかったのだ。

 

お父さんとの想い出

そんな算数苦手な女の子の夢は、女優になることだった。

でも昔は、今と違って女性は結婚して家に入るのが幸せという風潮があった。

 

スーパーのパートを終え、家に帰ったタエ子は、劇団のオーディションの申し込み画面に必要事項を書き込む。

でも今さらいい年して恥ずかしいし、どうしよう。

タエ子が迷っていると、みずきが家に帰ってきて、驚いたタエ子はぽちっと送信。

『送ってもうた~!』

 

子どもの頃、タエ子が夢をあきらめたのは、父に反対されたからだった。

父はタエ子に甘く、誕生日でもないのにお人形を買ってくれたりする。

それに対し、ぶうぶう文句を言う姉たちだが、たまに買ってもらう時にはバーンといいものを買ってもらっていた。

タエ子はいつも姉のお古ばかり。

 

中でもタエ子は、ヤエ子のエナメルのバッグが欲しかった。

でも『あんな子どもっぽいバッグ、さっさとあげちゃえばいいのに』というナナ子の言葉を聞き、『お古のバッグなんていらない』と心にもないことを言ってしまう。

 

その日はちょうど家族でお出かけする日だった。

けどタエ子は『ハンドバッグがないんだもん』と玄関に座ったまま、動こうとしない。

母がヤエ子にエナメルのバッグを貸してあげるように言うと、ヤエ子はバッグをタエ子の後頭部に投げつけた。

 

『さ、行きましょう』

『…私、行かない』

『あ、そう!行きましょう、お母さま』

 

『なんだ、タ~坊はいかないのか』

『いいのね?』

父と母は、タエ子に念を押して行ってしまった。

 

『あたしも行く!』

タエ子が雨の中、靴下のままで飛び出すと、それを見た父はタエ子を平手打ち。

タエ子は泣き出し、お出かけするどころではなくなった。

 

夏希の恋人

『怖い!』

タエ子の話を聞いたみずきは、声をあげる。

けどそれは、タエ子が裸足で外に出たからで、いつも怖いわけじゃない。

父は「わがままでもいい、美しく育ってほしい」と思ってくれていたはずだ。

 

タエ子とお父さんの間に絆のようなものを感じ、表情を曇らせるみずき。

タエ子はそんなみずきに気づき、優しく声をかける。

 

『お父さんに会いたい?』

『…ううん』

『欲しいと思ったことはある?』

『わかんないや』

そう言ってスープを飲み始めるみずきを見て、『そっか』とタエ子は呟いた。

 

その頃、夏希は恋人の俊介とバーで会っていた。

結婚する気のなさそうな俊介の態度に業を煮やした夏希は、「私だっていつかは」と思っていることを伝える。

 

オーディション

そして劇団のオーディションの日がやってきた。

タエ子は緊張しながらも、「夏の夜の夢」のセリフを情感たっぷりに読み上げた。

 

すると後日、オーディション合格の知らせが!

ⒸNHK『おもひでぽろぽろ』 オリコンニュースより

タエ子がみずきと手を取り合って喜んでいると、夏希が帰ってきた。

タエ子が舞台に出ると聞き、夏希は驚いて『本気?』と眉をつり上げる。

 

これでみずきは学芸会、タエ子は劇団の舞台で頑張れる!

しかし、夏希は『出張でみずきの学芸会にはいけない』という。

夏希が謝ると、みずきは『大丈夫だよ』と強がってみせた。

 

稽古開始!

いよいよ劇団の稽古が始まった。

でも周りの参加者は、セリフも満足に読めない人たちばかり。

やる気満々のタエ子は、初めての読み合わせなのに台本に書かれていない反応をしたり、先を急ぎすぎて注意される。

これでは10歳の頃の自分と同じではないか。

 

けどこんなご時世に、こんなことをやらせてもらえるなんて!

恥をかいてもいいから、前向きでいこう!

そう思えることをタエ子は幸せに思っていた。

 

その様子はまるで「恋」しているみたいだった!

恋といえば

恋といえば、小学生の時、

『うちのクラスの広田くんが岡島さんのこと好きなんですって!』

と、隣の4組の女子たちに言われたことがあった。

 

それを聞いた友人たちは、

『急に変なことを言われて、岡島さんが困ってます』と広田に伝えにいく。

 

当人たちは何も言っていないのに、どんどん広まっていく噂。

でも広田といえば、野球のエース。

 

土曜日に行われた4組と5組の野球の試合で、タエ子は恥ずかしくて、マウンドに立つ広田を直視できない。

そんな中、広田はどんどんバッターを空振り三振にしとめ、攻守で活躍。

タエ子は広田にくぎ付けになってしまう。

試合は5対3で、広田たち4組の勝ちだった。

 

その日の夕方、タエ子が1人で帰ろうとしていると、広田が走ってきた。

慌てて走り去ろうとするタエ子に、『あの!』と広田は話しかける。

 

『雨の日と、曇りの日と、晴れと、どれが1番好き?』

 

タエ子はしばし考え、『曇り』と答える。

『おんなじだ』

広田は嬉しそうに笑うと、タエ子に野球ボールを手渡し、去っていった。

 

タエ子はボールをぽーんと上に放り投げると、手のひらの中のボールを見て微笑んだ。

 

気になる人

一方、みずきが気になっているのは、隣の席の澤田くん。

澤田くんは女の子っぽいところがあって、教室で男子と一緒に着替えるのも苦手。

男子からは「気持ち悪い」と嫌がられていた。

 

学芸会の練習で、みずきと澤田は手をつないでセリフを読むよう、先生に指示される。

『見てみて、あの子、誰だろ』

『知らないよ。女の子かな』

2人はうつろな目で、棒読みで言う。

 

その帰り道。

『いいよ、別に無理して仲良くしようとしなくても…』

澤田はそう言うが、みずきは澤田を気持ち悪いと思ったことは1度もなかった。

 

でも、気持ち悪いと噂されることにもう慣れたと澤田は言う。

澤田が女の子っぽいのは、前々から。

男子が嫌いで、だから父親も嫌い。

お父さんは澤田のことを嫌な目で見るから。

 

『澤田くんはさ、心の病気なんだよね。だから悪く言う人はひどいと思う』

みずきが階段を降りていく澤田に向かって言うと、

『君もじゅうぶん酷いけど』

と澤田は呟く。

 

『なんだよ、病気って!わかったこと言うなよ!』

 

踏んだり蹴ったり

その後、みずきはいつもより1時間も遅く家に帰り、そのまま夕食も食べずに2階にこもってしまった。

 

『みずきが変なのよ』

タエ子は心配になり、仕事から帰ってきた夏希に様子を見に行ってあげてと頼む。

 

でもこの日、夏希は行く予定だった出張を他の人に取られ(その人は厚意のつもりだった)、恋人には『予定がある』と誘いを断られ、こころに余裕がなかった。

 

『大丈夫だって』と娘の様子を見ようともしない夏希を見て、『母親なら娘を心配するべきだ』というタエ子。

『それならお母さんだって、妻失格じゃない。お父さんの看病もせずに、舞台に出るだなんて』

2人の言い争いは次第にヒートアップしていく。

 

たしかに、1人で育てると決めたのは夏希だ。

だからといって、仕事以外の時間は子どもとずっと一緒にいなきゃいけないの?

子ども以外のことは考えちゃいけないの?

そんな完璧な親になんてなれないよ。

 

夏希が本音を吐き出すと、2階で話を聞いていたみずきが降りてきた。

『おばあちゃん、お腹すいた!お母さんも一緒に食べようよ』

みずきは何も聞いていないふりをして、明るくその場を盛り上げる。

 

ごはんを食べながら、みずきは友だちに『わかったような口をきくな』と言われたことを打ち明ける。

自分が1番の味方だと思っていたのに。

ひとの気持ちはほんとに難しい。

 

夏希は落ち込むみずきに、出張がなくなって学芸会に行けることになったと話す。

『ほんとに!?』

みずきはとても喜んだ。

 

ひとの気持ちは難しい

小学生の時、タエ子はみずきと同じような経験をしたことがあった。

 

あべ君という転校生がいて、タエ子の隣の席になった。

彼はいつも汚れた服を着ていて、手も真っ黒。

人前で平気で鼻をほじり、「宿題を見せろ」とタエ子のノートを無理やり奪う。

タエ子は早く夏休みになって、席が変わらないかと本気で思っていた。

 

そんなある日、タエ子は「あべ君がアヒルのエサ用の食パンを持って帰っている」という噂を耳にする。

クラスの女子たちがあべ君が触った場所を嫌がるのも、タエ子は黙って見ているだけだった。

 

ところが、あべ君が家庭の事情で転校することになり、クラスメイトと1人1人握手してお別れすることになった。

でもあべ君は『お前とは握手してやんねぇよ』と、タエ子とは握手しなかった。

あべ君は知っていたのだ。

クラスの中で、誰よりもあべ君を嫌っていたのはタエ子だと。

 

だから…

『夏希、ごめん。さっきは言いすぎた』

タエ子は夏希に想い出話をした後、謝る。

『私も、…ごめん』

ⒸNHK『おもひでぽろぽろ』 オリコンニュースより

『あんた、頑張ってるわよね~』

『もうわかったから。舞台も楽しみにしてるわよ』

 

『あら!あんたからそんな言葉を聞けるとは思わなかったわ~』

『そのかわり、恥かかせないでよ』

『あたしの芝居、なめんじゃないわよ~』

 

前に進み始める3人

それから本番に向け、タエ子の演技はどんどん熱がこもっていった。

 

一方、学芸会の練習で、みずきは目をそらさずに澤田くんを見つめ、自分から手を差し伸べる。

澤田くんはその手を取ってくれた。

 

とくに何か話をしたわけじゃない。

でも、みずきが気持ちをこめてセリフを言うと、澤田くんも同じようにセリフを言ってくれた。

それから2人は前よりも仲良く、話せるようになった。

 

そして夏希は、結婚の話をしてから連絡の途絶えた恋人に見切りをつけ、

『まあ、こんなもんか。あちょっ!』と連絡先を消去。

 

正伸の退院も決まり、タエ子の舞台を観れそうだ。

そんな矢先のことだった。

 

また諦めなくちゃいけないの?

稽古場に向かうと、みんなが泣いていた。

なんと借りていた劇場が倒産し、公演が中止になったというのだ。

 

ショックを受けたタエ子は、ふらふらと家に帰り、テーブルに顔を伏せる。

これでは10歳の時、夢をあきらめたあの時と同じではないか…。

 

それは学芸会が終わった後のこと。

タエ子が「ひょっこりひょうたん島」を観て盛り上がっていると、西大学演劇部の学生が「タエ子に子役をやってほしい」と家までやってきた。

学芸会での演技が、目に留まったのだ。

 

『すごいじゃない、タエ子!』

母と姉たちに褒められて、タエ子は有頂天。

あとは、お父さんの許可さえもらえれば。

 

みんなはチラリと父のほうを見やると、

『これがきっかけで、本職の子役になったりして』『宝塚に入りなさいよ』と畳みかける。

 

でも『演劇なんてだめだ。芸能界なんてだめだ』という父のひと言で、演劇部の芝居に出る話はなくなり、タエ子は部屋の隅でいつまでも泣き続けた。

 

『出たかった…、出たかったよ~』

タエ子がその時のことを思い出し、涙ぐんでいると、

『おばあちゃん!ただいま!』

と、みずきがガラリと玄関の引き戸を開け、飛び込んできた。

 

みずきは、タエ子の前に滑り込むように正座すると、目を輝かせて報告する。

『おばあちゃん!今日の練習、すっごく楽しかったの。

なんかわかった気がしたの。

気持ちがひとつになったっていうか、今まではそんなことなかったの。

でも今日は感じたの!』

『そう!』

 

『みんなが一瞬一瞬を大事にしたの。

そしたらなんか、みんなと繋がった気がしたの!

おばあちゃん、わかってくれる?この気持ち。

舞台上で生きることが大事だよって言ったじゃん!』

『うん、言った!』

『それが今日、わかったの!』

 

『そう、そりゃよかったね~』

タエ子はみずきの手を取ると、自分も稽古をしてきて改めてそれが大事だと思ったことを伝えた。

 

そして心に決めたのだ。

やっぱり諦めない。こんなことで諦めるわけにはいかないと。

 

『みずき、ありがとう、教えてくれて。

おばあちゃん、絶対あきらめないからね!

諦めないよ!うっ、う~~』

タエ子は泣き笑いしながら、みずきを抱きしめた。

 

希望という名の光

その後、タエ子は別の劇団のオーディションを受け、受かった。

次はチェーホフだという。

 

『もう、信じられない~』

夏希はあきれるが、タエ子はまったく気にしない。

 

今日はみずきの学芸会。

渡り廊下で、出番を待っているみずきを見かけ、

『みずき、頑張ってよ~!』

とタエ子は大声で応援する。

 

『一瞬一瞬を大事にね』

『…うん!』

笑顔のみずきにガッツポーズを返し、タエ子は体育館に入ろうとして、振り返る。

 

 

そこには10歳の頃の自分が、明るい笑顔で両手を振っていた。

 

 

~終~

 

 

『おもひでぽろぽろ』の感想

こうして実写版で見てみると、どのエピソードもちゃんと脳は覚えていたみたい。

時代は違うけど、どのエピソードもどこか自分の小学校時代の記憶をツンツンとつつかれるような、他人事だと思えない感じがしました。

 

とくに、あべ君の話と、澤田くんの話が重なる辺りとか。

タエ子はあべ君を嫌いだったけど、みずきは澤田くんのことをわかりたいと思ってたから。

だから仲直りできてよかった。

みずきがセリフに感情を込めたら、澤田くんも同じように感情を込めてくれたところは、ほんと泣けてしまいました。

セリフ以外、なんにもないんだけど。

 

それがやがてクラスみんなの意識を変え、一体感を得る芝居につながっていく。

そしてその感動と興奮が、タエ子の諦めかけたこころを立ち直らせる。

「一瞬一瞬を大事にすれば、何かが変わる」

祖母から孫へ、孫から祖母へのこころのバトンに胸が熱くなりました。

 

思い返せば、小学生のころの私もタエ子みたいなところがありました。

算数がぜんぜんできないところも。。

お芝居に目覚めたところも。

あの子が〇〇のことを好きだってと先に言われて、意識してしまったところも。

小学生「あるある」だな~。

 

私の場合、お芝居が好きな先生だったんですかね?

国語の教科書に載っていた話を、シーンごとにグループに分け、自分たちで台本を書かせて演じさせていくというすごい授業をしてくれた先生がいました。

 

それに私はすっかりハマってしまいまして。

どうやってこのシーンを再現すればいいのか、どう演じればいいのか。

他の子たちはやる気がなかったので、勝手にいろいろ盛り上がってやってしまいました。

そしたら人生最高の拍手喝采をもらいまして、すっかり演じることにハマってしまったわけです。

 

たとえセリフがなくても、一寸法師が登る木の役だって、一寸法師をおぶったまま、ぐるぐる回れば、みんなは大喜び。

そんなふうにして、やり方次第で変えていけるんだと思ったのです。

 

その時のことを考えると、今も顔がにやけてしまう。

小学生時代の自分、よくやったと。

 

だから第二の人生を踏み出したタエ子を見て、ほんとに嬉しい。

いつでも考え方しだいで変えていけるものなのかもしれませんね。

その最初の1歩が難しいのですが。

 

それでは最後まで読んでくださり、ありがとうございました\(^o^)/

またの~。

 

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
にほんブログ村

よかったらポチッとよろしくお願いいたします♪