『ノースライト』後編ネタバレと感想│家族をつなぐ温かなラスト。時を超えて残り続ける想いがそこにある

にこ

今回は、ドラマ『ノースライト』後編【夢見た家】のネタバレあらすじと感想をまとめました。

建築士の青瀬稔(西島秀俊)は、吉野一家失踪の謎を追ううちに、この事件の裏には別れた妻・ゆかり(宮沢りえ)が関係しているのではないかと思い始める…。

 

そんな中、所長の岡嶋(北村一輝)に公共事業にまつわる贈賄疑惑が浮上!

 

岡嶋は病気で倒れてしまう!

それではさっそく、後編のネタバレあらすじをご紹介したいと思います。

前編の詳しいあらすじはコチラ

後編の前に、簡単に前編をふり返り!

『あなた自身が住みたい家を建ててください』

 

建築士の青瀬稔(西島秀俊)は、吉野陶太(伊藤淳史)の依頼を受け、信濃追分にY邸を完成させた。

その家は、青瀬が幼い頃、ダム職人の父と渡り住んだ飯場のように、北側に大きな窓があり、浅間山を一望できた。

 

バブル崩壊後、大手事務所を追われた青瀬は、妻・ゆかり(宮沢りえ)と別れ、覇気のない生活を送っていた。

だがY邸が脚光を浴びたことにより、仕事が増加。

青瀬はまた建築士としての喜びを感じていた。

 

そんな中、引き渡しから4か月も経つというのに、Y邸に誰も住んでいないことが判明!

青瀬と、事務所の所長・岡嶋(北村一輝)が確認しに行くと、そこには家具も何もなかった。

ただひとつ、タウトの椅子だけを残して…。

吉野さんは、奥さんと子ども3人の5人家族。

青瀬はそれをイメージしてこの家をつくった。

 

『こんな家に住めるなんて、夢みたい』

引き渡しの時、吉野さん一家はとても喜んでくれていた。

それなのに…。

 

吉野さんが住んでいた借家に行ってみると、だいぶ前に奥さんと子どもたちはいなくなり、吉野さんも3か月前に引っ越していた。

 

それに、指にギプスをはめた柄の悪そうな男が訪ねてきたという。

 

そして同じころ、吉野さんが背の高い女性と信濃追分の蕎麦屋を訪れていたことが判明する。

 

一方、タウトの椅子について調べていくと、吉野さんのルーツは仙台で、タウトの椅子の設計図を持っていると言っていたことがわかる。

 

青瀬は次第に、吉野さんが会っていた背の高い女性というのは、ゆかりではないかと思い始める…。

 

一方、岡嶋は、市が建設予定の藤宮春子メモワールのコンペに参加するため、市の建設部長の食事代やタクシー代を払ったのではないかと疑われていた。

 

そんな中、岡嶋は急に苦しみだし、倒れてしまう!

 

『ノースライト』後編【夢見た家】のネタバレあらすじ

出典:NHK マイナビニュースより

岡嶋は胃潰瘍で、入院することになった。

青瀬が見舞いに行くと、岡嶋の妻・八栄子(田中麗奈)と小学生の息子・一創の笑い声が響いていた。

 

2人が帰った後、岡嶋は青瀬が止めるのも聞かず、窓辺に座ってタバコを吸い始めた。

 

コンペに参加するためには、市長と門倉建設部長がサッカー好きなところに食い込むしかなかったという岡嶋。

でも誓って、チケットは折半だったという。

 

『それなら賄賂とは言えない。一創くんだって信じてくれるよ』

青瀬が言うと、岡嶋は一創は自分の息子ではないことを打ち明けた。

一創は、八栄子の不貞でできた子だったのだ。

 

それを知ったとき、岡嶋は頭がおかしくなりそうだった。

八栄子のことも一創のことも殺したくなった。

 

『でも血じゃないんだ。過ごした時間なんだ。

だから、…ただ無心にこいつのために生きようって。

こいつのために何か残そうって』

 

それを力にして、岡嶋は仕事をしてきた。

だから青瀬にも何度も、家族を大切にしろと言ってきたのだ。

 

「埋めること

 

足りないものを埋めること

 

埋めても埋めても足りないものを

 

ただひたすら埋めること」

 

それは、藤宮春子の言葉。

芸術も人生も同じ。

 

『お前にとって1番美しいものってなんだ?』

 

岡嶋に問われ、『ノースライトだ』と青瀬は答える。

青瀬の脳裏に、Y邸の大きな窓から見える浅間山の光景が広がった。

 

数日後、青瀬は関東日報の池園(池田鉄洋)から連絡を受け、吉野の父親を知っているという人物に会いに、仙台へ向かった。

 

山下によると、吉野の父・伊佐久がタウトに工芸を習いたいと、自分で作った椅子を見せにきた。

タウトはその場で椅子の設計図を描いて、伊佐久に渡したという。

 

でもその後、伊佐久が作業所に来ることはなかった。

伊佐久の父が酔っ払って米を盗み、村八分にされてしまったのだ。

 

だが伊佐久の名前は反対から読むと「クサイ」。

みなそう言っていじめるだけで誰も助ける者はなく、こうして墓だけが残っている。

 

お墓には花が供えてあり、吉野さんが来たとしか考えられなかった。

吉野さんはY邸に、お父さんが作った椅子を置いたのだ。

 

青瀬は「連絡をください」と書いた名刺を置いて帰った。

 

その後、青瀬はふたたびY邸を訪れた。

吉野さんがなぜここにお父さんの椅子だけを残したのか、気になったのだ。

 

青瀬が2階に行ってみると、

椅子に伊佐久が座って、こちらを見て微かにお辞儀をしたように見えた。

 

昔、伊佐久が一家離散したことと、

今、吉野さんが姿を消していることはなにか関係があるのだろうか?

 

その時、携帯に電話がかかってきて、青瀬は我に返る。

 

『主人が飛び降りました』

 

なんと岡嶋が病室から飛び降り、亡くなったというのだ。

 

岡嶋の死

午後5時ごろ、看護師が薬を持って病室に来たところ、窓が開いていて、下を見ると岡嶋が倒れていたという。

 

八栄子が駆けつけた時、まだ岡嶋は少し息があった。

でも言葉はなく、遺書もなかった。

 

一創が岡嶋の実の子ではないと、青瀬が知っていることに気づいた八栄子は『私が死なせたんです…』と自分を責める。

 

「でもたまらなくかわいいんだ」

その時、青瀬は、岡嶋が窓辺に座って話していたことを思い出す。

 

青瀬は慌てて病室に行くと、窓を開けて外壁を確認した。

するとそこには、岡嶋がタバコの火を消した跡がたくさん残っていた。

 

間違いない!

岡嶋はタバコの火を消そうとして誤って転落したのだ。

 

自殺か事故死か、それは子どもにとっては大問題。

そんな重い苦しみを、あんなに可愛がっていた一創に残すはずがない。

 

青瀬が草むらを探すと、岡嶋のものと思われるタバコの吸い殻が何本も出てきた。

 

するとそこに、東洋新聞の記者が花を持って現れた。

 

『警察で聞いて…、すいませんでした』

『思い上がるな!お前の記事で死んだんじゃない!

あんな記事ぐらいで岡嶋が死ぬかよ!

これは事故だ。ちゃんと調べて本当のことを書け!

 

岡嶋のお葬式

数日後、岡嶋の葬儀がしめやかに営まれた。

参列者の中には、ライバル事務所の能勢(青木崇高)やゆかりの姿も。

青瀬は、憔悴しきった八栄子や一創の姿を見て、かける言葉が見つからなかった。

 

そんな中、青瀬は、能勢からうちの事務所に来ないかと声をかけられる。

他の事務所に引き抜かれる前に伝えておこうと思ったのだ。

だがこんな時にそんな話ができるわけがない。

 

青瀬は外に出て、鳥の声に耳を傾けた。

すると『サギね。アオサギでしょ?』と、ゆかりがやってきた。

青瀬の影響で、ゆかりもすっかり鳥に詳しくなっていた。

 

明日は、日向子との面会日。

ゆかりがどうするか尋ねると、青瀬はその前に聞きたいことがあると、ゆかりを見晴らしのいい場所に連れて行った。

 

青瀬が吉野さんを捜していることを伝えると、ゆかりは動揺。

やはり、吉野さんと一緒に蕎麦屋にいた『背の高い女性』は、ゆかりだった。

 

ゆかりは吉野さんに口止めされていたと謝ると、吉野さんと知り合った経緯を話し始めた。

 

吉野さんは興信所を使って青瀬のことを調べ、それでゆかりに連絡してきたらしい。

理由はわからないが、吉野さんは青瀬に返しても返しきれない恩があり、その返し方を教えてほしいと言っていた。

最初はゆかりも気味が悪くて、断っていた。

 

でも何度も電話がかかってきて、青瀬になんとか3000万もの大金を受け取ってもらえないかというものだから、ゆかりもどうしたものか真剣に考えてしまった。

 

それで『あなた(青瀬)が住みたいと思う家を建ててもらったら…?』と言ったのだ。

 

『本当にごめんなさい。あなたを騙すことになってしまった』

心底申し訳なさそうに謝るゆかりを見て、

『だけど、君の思惑は正しかったよ…』という青瀬。

 

Y邸を建てて、青瀬は救われたのだ。

それなのにどうして吉野さんはいなくなったのか…?

 

もしかしたら吉野さんは、指にギプスをした男に追われているのかもしれない。

そのせいで家族とも一緒にいられなくなったのかもしれない。

 

でもここでゆかりから、青瀬は重要な証言を得る。

吉野さんの故郷は、群馬の桐生だというのだ。

伊佐久は仙台を出た後、桐生に行ったらしい。

 

桐生といえば、青瀬の父・年雄(寺脇康文)が事故で死んだ場所。

桐生川ダムの飯場にいたとき、年雄は逃げた九官鳥を追って山を捜し歩いた。

九官鳥がいなくなったら、青瀬が悲しむだろうと思って…。

 

でも年雄はその時、崖から転落して死んでしまった。

青瀬は、自分が都会に憧れて街の高校に入ったりしなければ…と後悔していた。

 

青瀬がその話を、娘の日向子と会ったときに話すと、

『パパのせいじゃないよ』と日向子は言う。

 

年雄は九太郎を見つけたから、それを捕まえようとして崖から落ちてしまったのかもしれない。

おじいちゃんは鳥になっていて、パパは今もそれを捜しているのかな?

 

日向子の言葉を聞き、青瀬は窓の外を飛ぶ鳥を眺めた。

青瀬はその足で岡嶋の家に向かい、線香をあげた。

 

未来へと繋がる想い

青瀬が先日、記者に訴えたため、東洋新聞には岡嶋の死は事故の可能性が高いと書かれていた。

青瀬はその記事を一創に見せてあげたいと思った。

 

岡嶋の死は自殺ではなく、事故だ。

それは一創にとって、とても大事なことのように思えた。

 

『彼が悩んだ時でもいいんです。

その時は、これを見せてほしい。お願いします』

 

青瀬が妻の八栄子に頼むと、八栄子は涙ながらに言った。

何があっても、一創に岡嶋のことを悪く思わせることはしないと。

八栄子は岡嶋のことを愛していたのだ。

 

『あなたのせいじゃありません』

青瀬はそう言うと、岡嶋が最期に何も言わなかったのは、生きようとしていたからじゃないかと訴えた。

 

そこに、一創がスケッチブックを持ってやってきた。

それは岡嶋が病室で描いていたものだった。

 

中を見てみると、そこには藤宮春子メモワールの草案が!

コンペは降りると決めた後も、岡嶋は諦めずに考え続けていたのだ。

 

『…死ぬわけないよね?

そんなに描いてたひとが、死ぬわけないよね?おじさん…』

 

『ああ、死ぬわけない。

見てごらん?このスケッチブック。薄くなってるだろ?

たぶん何度も描き直したからだ。

それまで描いていたものを破り捨てて、また1からアイディアを練り直していたんだ』

 

岡嶋はあの病室で終わる気なんてなかったのだ。

 

『僕、大きくなったら絶対、建築士になります』

涙ながらに誓う一創を見て、青瀬は『よかったな』と岡嶋の遺影を見る。

 

岡嶋の父親としての姿はちゃんと一創に伝わり、未来へと繋がっていたのだ。

 

コンペ続行!

青瀬はたぎるような思いを抱え、事務所に戻ると『続行だ』とみんなを呼び集めた。

降りると言っていたコンペを続行するというのだ。

青瀬はみんなに岡嶋が描いた草案を見せると、説明した。

 

それはモンマルトルの丘にインスパイアされたもの。

メモワールの塔には、藤宮春子が40年間絵を描き続けたパリのアパートの外壁と窓が生き続け、そして床一面に彼女の絵が飾られる。

それを天井からノースライトが照らす。

床で絵を描き続けた、藤宮春子の人生そのものを見事に表現した展示方法だ。

 

青瀬はこの案で勝負することを告げると、石巻(柄本時生)に今すぐ図面に起こすよう頼んだ。

 

『そんな無茶です!こんなエスキースだけじゃ』

 

『できるさ、お前なら。ありったけの知識と想像力で描かれてない部分を補え。

知ってたか?お前が本気を出したら、俺も岡嶋もかなわないんだ』

 

それを聞き、石巻はやる気に。

展示ホールは青瀬が担当、それ以外は石巻が考えることになった。

 

そして青瀬は、津村マユミ(田中みな実)にパリに行って実際に見てきてほしいと頼む。

岡嶋と同心梅のマユミなら、岡嶋と同じように見て感じ、このメモワールに命を吹き込めるはずだ。

 

『キャンセル待ちでもなんでもして、1番早い便で行ってくれ』

『…はい』

目を真っ赤にしながら、マユミは答えた。

 

そして竹内(井之脇海)には、ローコスト住宅のノウハウを総動員して坪単価を抑えるように指示する。

驚いている暇はない。

青瀬たちは、能勢事務所の美術館荒らし・鳩山(竹財輝之助)に勝たなければならないのだ。

 

青瀬はこれを能勢事務所に持ち込み、鳩山のプランとプレコンペさせるつもりだった。

岡嶋のプランで鳩山のプランを圧倒する!

そうすれば、この事務所の名前は残らないが、岡嶋の作品は残りつづける。

 

青瀬はどうしてもこれを作りたかった。

岡嶋のためにも、一創のためにも。

 

そのためにも確実に取りにいく。

青瀬は3週間でプランを仕上げ、能勢事務所に持ち込むことにした!

 

指にギプスをはめた男の正体

その後、みんなは一丸になって岡嶋の草案を形にしていった。

 

岡嶋がメインホールに考えた、ノースライトで床一面の作品を照らす案。

これを病室で思いついたとき、岡嶋はきっと興奮しただろう。

 

そしてコンペまで14日。

青瀬たちがあ~でもないこ~でもないと意見をぶつけ合っていると、『ごめんよ!』とガタイのいい男が入ってきた。

 

彼は、青瀬が吉野伊佐久の墓においた名刺を見てやってきた。

それを見て、青瀬は気づく。彼が指にギプスをした男だと!

 

実は彼(三島)は、吉野の義兄だった。

吉野は妻と別居して3年になるのに離婚に応じようとせず、妻に復縁を迫っていた。

父の遺産が入ったので、信濃追分に建てた家で一緒に暮らそうというのだ。

 

でも吉野さんは商売で失敗し、家族を酷い目にあわせていた。

カッとなった三島は、吉野さんの家に行き、Y邸を売って慰謝料をよこせと怒鳴りつけた。

その時、吉野さんが玄関の引き戸を思い切り閉め、三島の手を思い切り挟んだ。

 

一応これは傷害事件。

警察にも届けたし、三島は血眼になって捜している。

それで吉野さんは逃げ続けているというわけだ。

 

三島はY邸にも足を運んでいた。

その時、鍵を壊し、土足で中に踏み込んだのだ。

 

三島は青瀬に離婚届を渡すと、もし吉野さんに会えたら渡してほしいと頼む。

これに判を捺してくれさえすれば、Y邸を取り上げるようなことはしないからと。

 

ということは、吉野さんがY邸を依頼してきたときにはもう、奥さんも子どもたちもいなかったということだ。

では青瀬が会ったあの家族はいったいなんだったのか…?

 

吉野からの長い手紙

そして、プレコンペに出す締め切りが近づいてきた。

青瀬はひさしぶりに自宅マンションに帰ると、ソファに横たわり泥のように眠った。

 

たまった郵便物を見て、青瀬は驚く。

その中に吉野さんからの手紙を見つけたからだ。

そこにはどうして吉野さんが青瀬に恩を返したいと思ったのか、その経緯が書かれていた。

 

 

吉野の父・伊佐久は16歳の時に仙台を出て、桐生の機織り工場で働いていた姉を頼った。

 

伊佐久はそこで小間使いをしながら、独学で木工の技術を磨き、30代半ばで独立し、遅い結婚をして一男一女をもうけた。

それが吉野淘太と香里江だった。

 

伊佐久はのちに桐生川ダムが併設されるところに、工房を構えていた。

伊佐久は仕事にいっさいの妥協を許さず、母は吉野が中学生の時にがんで亡くなった。

 

妹の香里江は病弱で、その日も熱を出して寝ていた。

そこに伊佐久が九官鳥を捕まえてきた。

 

それを見た香里江は『お母さんが帰ってきたんじゃない?』と喜んだ。

九官鳥は香里江の言葉をすぐに覚え、よくしゃべった。

香里江は母を亡くしてから、初めて笑った。

 

するとそこに、青瀬の父・年雄がやってきた。

そしてあの九官鳥は、うちのせがれが飼っていたものだから返してほしいという。

 

『お~い、青瀬稔く~ん』

年雄が言うと、九官鳥は『オ~イ、アオセミノルク~ン』としゃべった。

 

それを聞き、伊佐久は九官鳥を返すことにした。

でも香里江の泣き崩れる姿を見た伊佐久は、年雄を追いかけ、タウトが設計した椅子と交換してほしいと頼んだ。

 

でも年雄は、この九官鳥はせがれが家族みたいに可愛がっている鳥だからと断る。

そこで年雄は、これで別の九官鳥を買ってあげてくれとお金を渡した。

 

すると『バカにするな!』と伊佐久は怒り出し、

この椅子はあんたなんかが座れるようなもんじゃないとののしった。

 

2人は口論になり、掴み合いのケンカに発展!

その時、九官鳥が逃げ出してしまい、追いかけようとした2人は接触。

年雄は背中を押され、崖から転落して亡くなってしまったのだ。

 

そして3年前、伊佐久は脳卒中で倒れ、初めてそれを吉野兄妹に打ち明けた。

 

伊佐久は一家離散した過去があり、それを恐れて死ぬ間際まで事実を言えなかったのだろう。

伊佐久は最期に、吉野兄妹に償いを託して亡くなった。

 

それで吉野は青瀬に内緒で、恩を返そうとした。

でも今は、青瀬に会って本当のことをすべて話し、謝罪すべきだったと後悔していた。

 

夢見た家

青瀬が桐生川ダムに行くと、吉野淘太と妹の香里江(徳永えり)が待っていた。

「香里江」の名前は逆から読むと「エリカ」。タウトの伴侶の名前と同じだ。

 

伊佐久は名前を逆さに呼ばれるのを嫌っていたのに、子どもたちにはそんな意味を込めて名前をつけた。

 

あの時、一緒にいた子どもたちは、香里江の子ども。

2人は夫婦のふりをして、青瀬を騙したことを心から謝った。

 

でも青瀬は手紙を読んでもなお、父・年雄は事故死だったと思っていた。

 

青瀬は吉野に離婚届を渡すと、Y邸はどうするのか尋ねた。

すると吉野は、あの家はいずれ青瀬に渡そうと思っていたという。

 

でもあの家を見た時、吉野は夢見てしまったのだ。

妻が中学まで暮らしていた信濃追分、そこに家を建てようと語り合ったときもあった。

だからここでならまた幸せな日々を送れるんじゃないかと。

 

『青瀬さん、あの家を受け取ってもらえませんか?』

吉野に言われ、青瀬は提案する。

 

『それなら私に売ってください』

そのお金で吉野にやり直してほしいと、青瀬は心に決めてここまでやってきたのだ。

 

『…それならせめて、あの椅子を受け取ってもらえないでしょうか?

そしたら、父もきっと喜びます…』

 

『わかりました。それならあの椅子はY邸でお預かりしておきます。

いつでも会いに来てください、伊佐久さんに』

 

青瀬は今まで、建築家なのに自分が住みたい家、帰りたい家を考えてこなかった。

それを吉野さんから教えてもらった。

 

でもそれは自分じゃなく、ゆかりに伝えてほしいと吉野は言う。

 

ゆかりはY邸に3時間もいたのだ。

ノースライトの光を浴びて、床に寝っ転がるゆかり。

その光景を思い描き、青瀬の胸は熱くなった。

 

能勢事務所にプランを持ち込む青瀬

数日後、青瀬は能勢事務所に岡嶋のプランを持ち込んだ。

能勢はそれを見て『面白い』と気に入る。

 

青瀬はそれを無償で渡す代わりに、1つだけ条件を出した。

もしこのプランがコンペを通過し、あの野原にこのメモワールが建ったら、岡嶋の息子に『これはお父さんが建てたんだ』と話すことを許してほしいと。

 

能勢はそれを快諾した。

 

同心梅

その後、青瀬はゆかりと並んで歩いた。

青瀬は、一創に岡嶋事務所を渡すまで頑張ることを心に決めていた。

 

昔、ゆかりと青瀬は家を建てようとして意見が食い違ったことがあった。

その時、青瀬はコンクリートの家がいいと言い、ゆかりは木の家がいいと言った。

 

でも『Y邸が、俺の本当に建てたい家だったんだ

青瀬は今ははっきりということができる。

 

『いい家だった。変わったのね、鳥類の好みが』

『君のおかげだ』

『それは違う。あなたのためにしたんじゃない。

それじゃあ、また第3土曜日にお願いします』

 

そう言って笑顔で去っていくゆかりを見て、青瀬は岡嶋の言葉を思い出す。

 

「同心梅。同じ心を抱く2つの体。

 

いるんだよ、色恋とか抜きで心がこう…シンクロする相手が。

 

結婚とか離婚とか関係なくな」

 

 

渡り鳥がたどり着いた場所

後日、青瀬は、日向子と一緒にY邸を掃除しにいった。

 

『ママね、今日は仕事で来れないんだって』

『…今日は?』

『そう、今日は』

『…そうか。行くぞ』

 

見ると、Y邸の軒下に、つばめが巣を作っていた。

 

きっとこの家にも温かい春が訪れる。そんな予感を抱かせながら…。

 

 

 

『ノースライト』後編の感想

青瀬のお父さんは、吉野のお父さんに押されて崖から落ちてしまったんですね。

でもあれは故意じゃないし、2人とも九官鳥を捕まえようとしただけ…。

それにどちらも子どものためにしたことで、なんとも悲しい結末でした。

 

吉野さんがそのことを言わずに恩を返そうと思ったのも、お父さんのことを思えばこそだったのかもしれない。

いろんな人のいろんな思いが複雑に絡み合い、謎を呼ぶミステリーでした。

 

そんな中、グッときたのは岡嶋の同心梅・津村マユミを演じた田中みな実さんの発するオーラでした。

西島秀俊さんが、田中みな実さんの演技を最初からあんなに役に入り込んで保つのかな…と心配になるほどだったと言っていたけれど、岡嶋が死んでからのマユミは本当にすごくて。

マユミのところだけ光ってるかのように画面からオーラがほとばしっていました。

 

目と鼻を真っ赤にして涙をこらえながら仕事する姿。

岡嶋の代わりにパリに行って確認してきてほしいと言われたときの嬉しそうな顔。

岡嶋のメモワールが建ったかどうかは結局わかりませんが、きっと建ったのだと思いたい。

 

ゆかりがY邸が完成した後、嬉しそうに家を見て回っていたように、

みんながメモワール完成後、何度もメモワールに足を運ぶ姿が目に浮かぶようです。

 

一創にとっても、八栄子にとっても、マユミにとっても、青瀬にとっても事務所のみんなにとっても、心が折れた時、嬉しいことがあったとき、そっと寄り添ってほしいとき、行きたくなる場所になるんじゃないかなって。

 

事務所のみんなは出番は少ないけど、後半の活躍にわくわく!

一致団結して頑張る姿に胸が熱くなりました!

 

最後に、Y邸に渡り鳥のつばめが巣を作っているのも、ゆかりと青瀬の復縁を感じさせていいですね~☆

青瀬はやっと帰る場所を見つけたんですね。

心温まる終わり方でよかったです~!

 

それではここまで読んでくださり、ありがとうございました\(^o^)/

またの~。

 

にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
にほんブログ村

よかったらポチッとよろしくお願いいたします♪