にこ
雫(土村芳)は旅立ちの前に、心の中で大切な人と再会していた…。
その中には若くして亡くなった母(佐津川愛美)の姿も。
そしてついにお別れの時がやってきた。
雫のいない世界には、小さな奇跡がいくつも起きていて…。
それではさっそく、最終回のネタバレあらすじをご紹介したいと思います。
『ライオンのおやつ』最終回のネタバレあらすじ
雫(土村芳)のリクエストで、マドンナ(鈴木京香)は夜どおし鍋を火にかけ、「蘇」をつくっていた。
雫はもうろうとしながら、
『パパ…。ママ…』
と幼い頃亡くなった父と母の名前を呼んでいた。
気づくと雫は、暗い夜の病院にいた。
事故があった嵐の夜のことだ。
ゴロゴロと雷鳴が鳴り響く中、弘人(石丸幹二)が医師から父と母が亡くなったことを聞かされている。
向こうに幼い自分がいた。
『パパとママは?』
何も知らず、尋ねる雫を弘人は抱きしめる。
そのとき、『しーちゃん』と雫を呼ぶ声がした。
それは25歳の若さで亡くなった母・珠美(佐津川愛美)だった。
『大きくなったね~』
珠美に頭をなでられ、雫はベッドの上で嬉しそうに微笑む。
最後の命の揺らめきの中で、雫は大切な人と心の中で会っていた。
母との再会
雫は珠美と並んでソファに座り、アイスを食べた。
思い出のおやつは何かと聞かれたら、珠美はこのアイスをリクエストする。
パパと初めてデートした時に食べたココナツミルクにヨーグルト。それにアーモンドスライスをトッピング。
雫が食べているのは、バニラとラムレーズン。
『大人だね~』と珠美が目を丸くすると、
『もうママより年上だもん』と雫は珠美の肩に頭を乗せ、子どものように甘える。
なんだか不思議な感じだ。
『ねえ、しーちゃん。一緒にいられなくてごめんね』
珠美は謝ると、ずっと雫を見守っていたことを伝える。
だから雫が寂しい想いをしていたことも知っていた。
『でも不幸じゃなかったよ。最後にはみんなとも家族になれたし…。
なんていうか、味わい深い人生だった』
それを聞き、珠美は安心する。
前に雫は、自分の人生を「つまらない人生」だと言っていたから。
カレー鍋を倒していないのに犯人にされたり、
先輩と両想いになれたのに告白できなかったり、
雫はいつもちょっと損をしていて、珠美は心配だった。
『でもいい子だなぁとも思ってたよ。
思いやりがあって、相手を大事にしてて、わがままも言わないで。
けど、ただのいい子なんじゃないよね。
しーちゃんは強いんだと思う。
優しくて、強い』
そんなこと初めて言われた…と雫は少し照れくさくなる。
でも珠美は雫の頬に手をあて、笑顔で言う。
『ずっと見てた私が言うんだから間違いないよ~』
『よく生きたね。
死ぬことはとてもつらいけど、でもよく頑張って最期まで生き切った。偉いよ』
珠美に肩を抱き寄せられ、雫は涙ぐむ。
『ねえ…、そっちひと口ちょうだい?こういうの、やってみたかった』
『私も』
雫と珠美は仲良く親子でお互いのアイスをシェアして食べた。
六花と夏子さん
雫は夢の中で、もう1人別の人に会った。
『こんにちは。雫さん』
バスケットを手に笑顔で現われた女性を見て、六花が嬉しそうに飛んでいく。
『もしかして、夏子さん?』
それは六花の飼い主で、雫がライオンの家に来る前に亡くなった夏子(田中麗奈)だった。
夏子の持ってきたチョココロネをいただく。
やっぱりおいしい。
雫は夏子が残した言葉の中で忘れられない言葉があった。
『最期まで ちゃんと生き切る。
チョコがたっぷり詰まったコロネのように、人生を味わいつくす…』
『達成できそう?』
夏子の問いに、
『はい』
と雫ははっきりとうなずく。
夏子は安心しきった表情の六花をなでると、六花との馴れ初めを話し始めた。
六花とは、動物愛護団体の紹介で出会った。
離婚したばかりですごく傷ついていたときに、「飼い主募集」という貼り紙を見つけて。
真っ白で冬生まれだというので、雪にちなんで「六花」と名付けたのだ。
六花のおかげでいろいろ乗り越えられた。
『ありがとうね』
と六花にお礼を言う夏子を見て、
『それは私もです』
と雫は笑顔で言い、六花をなでる。
『でもまた寂しい思いをさせてしまいますね。
もっとお散歩したり遊んだりしたかったな…』
すると『だから今日ここに来たの。今ならできるでしょ?』と夏子は雫の手を取り、弾けるような笑顔を見せる。
雫は六花と一緒に草原をぞんぶんに駆け回り、新鮮な空気を吸い込んだ。
『ありがとう。夏子さん』
雫は笑顔で微笑んだ。
旅立ちの時
空が少しずつ明るさを増す頃。
『そろそろドクターに連絡したほうがよさそうです』
とカモメちゃん(蔵下穂波)がマドンナのところへやってきた。
それは、畑仕事に行こうとしていたタヒチ(竜星涼)にも知らされた。
『マドンナさん、行ってきます』
タヒチは雫と約束したとおり、六花を連れて海の見える場所へ向かう。
マドンナはできあがった蘇をもって、雫のもとへ急いだ。
ほんの少しスプーンで口に運ぶと、雫は口の中でゆっくりと味わい、微笑む。
そして消え入りそうな声で『ごち…そう…さ…ま…でし…た』と感謝の言葉を口にする。
『雫さ~ん!また! また会いましょう~!!』
約束の場所でタヒチが手を振ると、雲の合間から幾筋もの光が射し、雫が手を振り返しているようだった。
タヒチはにっこり笑い、両手で大きく手を振った。
その横で六花も鳴いて、雫にお別れを告げる。
午前4時53分。
雫はマドンナやドクター、カモメちゃんたちに見守られ、静かに息を引き取った。
マドンナは雫の肩にそっと手をのせ、
『よい旅を』
と声をかける。
窓から射しこむ朝日を浴びて、雫は微笑んでいるようだった。
人の一生
『雫さんの最期、とってもきれいでした』
マドンナは戻ってきたタヒチにそう伝える。
タヒチの視線が、ライオンの家の前にあるろうそくに向けられているのに気づき、マドンナは語り始める。
『人の人生って、1本のロウソクのようだって思うんです』
ロウソクじたいは自分では火をつけることはできないし、消すこともできない。
1度火がともったら、自然な流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかない。
『ロウソクの火は消えるときが1番美しく感じるのですが、人もそんな気がするんです。
生きることは、誰かの光になること。
自分自身の命をすり減らすことで、ほかの人を照らす光になる。
そうやってお互いがお互いを照らし合っていると思うんです』
タヒチの亡くなった父親も言っていた。
人は亡くなったら、光になると。
六花と手を振った時、空がパッと明るくなった。
まるで雫が世界を照らしているみたいに。
2人は笑顔で空を見上げ、風に吹かれた。
みんなのところへ
その後。
雫を乗せた車は『ありがとう!』とみんなに見送られ、ライオンの家を出ていった。
その頃、弘人は早苗(西田尚美)と梢(新井美羽)の前で、雫が好きだった「見上げてごらん夜の星を」をチェロで演奏していた。
雫が熱を出した時のこと、誕生日にチェロを弾いてあげたこと。
一緒に歌いながら歩いたこと。
弘人は雫と過ごした日々を思い出しながら曲を弾き終え、涙した。
その頃、雫の友人2人は、カフェにいた。
同じケーキを注文するなんて初めてだ。
だって雫がいたら、みんなと被らないように別のメニューを選ぶから。
雫はみんなと何かをシェアするのが好きだった。
2人に病気だということを告げた日も、泣いている2人に雫は『はいっ。この話はもうおしまい!』と、処分しようと思っていた服や雑貨などをプレゼントした。
『今日、雫にもらった服を初めて着てみたんだけど、ポケットにこれが入っていたの』
そう言って、友人の1人は切符を取り出した。
おそらく電車に乗っている間にポケットに入れて忘れてしまったのだろう。
2人は改札に着いた時に慌てている雫の顔を想像し、笑顔になった後、泣き出した。
そんな2人を見て、魂になった雫は働いていた会社へ向かう。
雫はここでもみんなが嫌がるようなことをやってくれるような存在だった。
シュレッダーの機械にゴミ捨てランプがついていても、みんな押し込んだり見て見ぬふりをして使ってるのに、雫はいつもちゃんと捨てていた。
でもそれでごみ袋が破れて中身をばらまいてしまい、大惨事になることもよくあった。
『面白い子だったなぁ』
『おまえ、やっぱ海野さんのこと好きだったんじゃ』
『うっせぇよ』
次に雫が向かったのは、小学生の時、給食当番でカレー鍋を倒してしまった同級生のところ。
ふいにそのことを思い出した女性は、別の子が疑われて、でも本当のことを言えなかったと小学生の息子にざんげする。
『もしかしたらその子はママがやったって気づいてたのかも。
だから言わないでいてくれたのかもしれない。
謝りたいな。。
だからゆうまは、ママみたいな後悔しないようにね』
ゆうまは神妙な顔でうなずいた。
そして次は、雫が好きだった大浦先輩のところ。
大浦先輩は同僚に初恋の人を聞かれ、雫の名前をあげる。
大人しくて、にこにこしてて。
でも中学の時だから、周りに噂を流されてそれで終わり。
『あの子、どうしてるかなぁ』
そして最後は、雫が小さい頃に近所に住んでいたおじいちゃん。
おじいちゃんは、妻に先立たれたばかりで、いつも元気に挨拶してくれる雫の笑顔に救われていた。
『元気にしてるといいなぁ』
雫の体はなくなっても、みんなの心の中で雫は生き続けている。
雫の遺骨は、本人の希望で散骨することになった。
土の中に静かに眠るより、自由に舞いたくて。
風のようになれたら気持ちよさそうだと雫は思ったのだ。
『明日、まいてきます。いい風が吹きそうなので』
マドンナからそんな話を聞いたからだろうか?
先生(三浦浩一)はその晩、不思議な夢を見た。
不思議な夢
翌朝。
食堂に行くと、
『昨日は元気だったんだけどな~』
とブツブツ言いながらシマさん(かとうかず子)が腰をおさえてやってきた。
その日のおかゆは枝豆がゆで、シマさんが指でOKマークをつくると、調理担当の直弥(萩原利久)はやったーと大喜び!
でもなぜかシスター(梅沢昌代)は手もつけず、暗い表情。。
『シスター、どうしたんですか?』
ヘルパーさん(伊藤修子)が心配になって声をかけると、
『明日葉モンブラン~!』
と、いきなりシスターは叫ぶ。
『シスター!明日葉モンブラン、食べたのか?』
驚いて先生が駆け寄ると、
『先生も食べたの?』
とシマさん。
昨日、2人は夢で見たのだ。
すると楽しそうにウフフフフ…とシスターは笑い出した。
昨日見た夢
『ま~て~、ももたろう~』
先生はアワトリス(和田正人)がももちゃん(渋谷南那)を追いかける声で目を覚ました。
気付けば、シマさんはぴんぴんしていて、舞さん(濱田マリ)から早くメレンゲをつくるよう催促されているし、
真っ赤なワンピースを着てマスター(モロ師岡)と談笑する雫の姿や、亡くなったタケオ(綾田俊樹)の姿もあった。
何より驚いたのは、シスターがすたすた歩いてしゃきしゃき喋っていたこと。
本当のシスターはおしゃべりが大好きで、よく笑う朗らかな女性だった。
今日の3時のおやつは雫がリクエストした「明日葉モンブラン」。
見た目は真緑で、粘土細工のよう。
もしかして苦いのかな?
でもみんなが『あ~ん』と口を開けて食べようとしたとき、夢から醒めてしまった。
その話を聞いた舞さんは、明日葉モンブランを再現してみることに…!
わいわいとみんなが語らう声が食堂から聴こえてきて、
『今日はにぎやかですね、雫さん』
とマドンナは胸に抱いた木箱に向かって話しかける。
そのままマドンナは遺骨をまきに外へ出ていった。
明日葉モンブラン
一方、食堂では…。
緑のモンブランに粉砂糖を振って、明日葉を飾れば、明日葉モンブランのできあがり~!
使用した明日葉は、夢の中で雫が「タヒチくんの明日葉」と言っていたので、タヒチに持ってきてもらった。
タヒチと純(柳生みゆ)も加わり、みんなでひと口食べると、
『これ、あの子のお気に入りかもしれない』
とシマさん。
夢の中でおやつのメニューを教えてくれるなんて、雫らしい。
風がライオンの家のカーテンをそっと揺らす。
マドンナは雫のいた部屋を片付け、名前が書かれたプレートを外す。
そこに六花が走ってきて、マドンナは笑顔で六花をなで、歩き出す。
『次の人もかわいがってくれるといいですね』
今日も海は青くキラキラと輝いている。
海沿いの道を、ゲストを乗せた車が走っていく…。
~おしまい~
ライオンのおやつ、寂しいけど寂しくない、とっても良い終わりだったわ✨雫ちゃんが赤いワンピースがとっても似合ってて本当にお姫様みたいだったー💐#ライオンのおやつ pic.twitter.com/ryyrjRoStQ
— イザワメイ (@IJ_M) August 15, 2021
雫の友達が思い出して笑って泣くシーンが一番泣けた。
私も亡くした友達を思い出す時、楽しい思い出しかないから笑って心が温かくなって、でも、その後ここにいない事がとても寂しくなる。
でも、ずっとこうして大切な人を思い出しながら生きていくんだろうなぁと思う。#ライオンのおやつ pic.twitter.com/QhzV6jj0P8— 🐶shi.ho💕🐰💐 (@shihorin0321) August 15, 2021
こんな時間なのに甘いものが
食べたくなってる😚明日葉のモンブラン🍰🧁
少し苦くて甘い、
味わい深いんだろうなぁ。#ライオンのおやつ pic.twitter.com/pAKFACyBpl— 🐶shi.ho💕🐰💐 (@shihorin0321) August 15, 2021
『ライオンのおやつ』最終回の感想
前回、うわごとで雫が言っていたカレー鍋事件と、大浦先輩がここでちゃんと回収されるとは思わず、そうきたか〜とニヤリ。
最後は雫が幼い頃、挨拶をしていた近所のおじいちゃんまで出てきたよ。
でもそのくらい、本人も気づかないところで誰かの記憶に残っていたり、ふと思い出してもらえたりするのかなぁ。
私も、ビーズのストラップが切れて友だちが亡くなったことを知ったことがあり、お別れにきてくれたのかなぁと思いました。
風になって光になって、自由になった雫。
この世界からいなくなってしまうのは寂しいけど、もう痛くも苦しくもないところへ行ったのだとそう思いたい。
会えないだけでどこかで元気にしているような。
亡くなったことを知らない人にとっては、いつまでも生きている人なんだよなぁ。
そして先生とシマさんとシスターだけが見た夢。
夢の中のシスターがシャキシャキしててかっこよかった。
亡くなった人もみんな総出演で、みんな元気に笑っていて、ほんとに夢のような世界。
明日葉モンブラン。
ももちゃんが粘土みたいって言ってたけど、ほんとそんな感じ。笑
甘くてちょっと苦味のきいた人生のような味がするのかな。
夏子さんと食べてたチョココルネも、お母さんとシェアして食べてたアイスも、みんな美味しそうでした。
最期をどう過ごすか、どんな死に方をしたいか、最後まで考えさせられるドラマだったけど、温かくて爽やかな終わり方でよかったです。
それでは最後まで読んでくださり、ありがとうございました(=^・^=)
またの〜。