『生きるとか死ぬとか父親とか』11話ネタバレと感想│20年の時を超えて。。これを書かなければ私は進めない!

にこ

今回は、2021年6月18日放送『生きるとか死ぬとか父親とか』11話「不在とか崩壊とか」のネタバレあらすじと感想をまとめました。

Ⓒ『生きるとか死ぬとか父親とか』製作委員会

母が亡くなった後、トキコ(松岡茉優)と父(國村隼)の関係はどんどん悪化…

 

商売がうまくいかなくなった父は、勝手に家を売ってしまいます!!!

 

引っ越しのため荷物を片付けていたトキコは、母の「ヒミツ」を見つけてしまい…!?

それではさっそく、11話のネタバレあらすじをご紹介したいと思います。

 

その他のあらすじ

『生きるとか死ぬとか父親とか』11話のネタバレあらすじ

トキコ(吉田羊)はずっと自分の家族は「普通じゃない」と思っていた。

でも、

『普通の家族なんていませんよ。

みんな、その普通じゃなさと折り合いをつけていくんじゃないでしょうか?』

と編集担当の今西に言われ、トキコは少し救われた気持ちになる。

 

これで父と母について書いたエッセイも終わり。

と思いきや、トキコにはもう1つ書いておきたいことがあった。

それは父が事業を失敗し、実家を売ったときの話。

トキコにとっては、母を亡くしたことの次に大きな出来事だった。

 

── そして再び時はトキコが20代のころにさかのぼる。。

 

母が亡くなった後、父(國村隼)の商売はうまくいかず、ある日、家賃の督促状が届く。

父はトキコ(松岡茉優)にひと言の相談もなく、家を手放していたのだ!

 

買主がいい人で家賃を払えばそのまま住んでいいと言ってくれたのだが、まったく話を聞かされていなかったトキコは憤りを隠せない。

トキコは母に報告する!と督促状を持って仏壇に向かった。

 

『いや、ママには俺が報告する』

父はトキコから封筒を取り、静かに仏壇に手を合わせた。

 

父の商売がうまくいかなくなったのは、精神的に支えてくれていた母を失ったのが原因だった。

 

やはり父は母がいないとだめなのだ。

父とトキコ、2人だけではどうしようもない。

トキコの貯金を家賃や父の事業のほうに回したが、それも限界。

トキコたちはついにこの家を出ていくことにした。

 

上の空の父

『本当にいいのね?』

『ああ。こんな家、いつ出ていってもいいと思ってたんだ』

『あっそ…』

 

最近のトキコと父の関係は最悪で、ギスギスした雰囲気が漂っていた。

その一方で、このままでは父も自分も共倒れになってしまう、なんとかしたいと思っていた。

 

引っ越しの日取りが決まっても、父はいっこうに荷物をまとめようとしない。

何度頼んでも、どこに引っ越すかさえ決めようとしなかった。

 

先に住む場所を決めたトキコは父を心配し、不動産屋を紹介しようとするが。。

父はぼんやりとテレビを見ながら、現実味のないことばかり言っている。

トキコはイラッとして、

『今月末にはここを出ていかなきゃいけないんだから、ちゃんと決めておいてね』

と釘をさした。

 

どこを見回しても、物、物、物…。

それらを見ると全身から力が抜けていく。

でも感傷に浸る暇はない。

これをすべて空にして家を出ていかなければならないのだ。

 

けどいくらトキコが頑張っても、父はまるで他人事のようだった。

 

心の整理

そんな中、トキコの友人・北野(大友花恋)ミナミ(さいとうなり)が引っ越しの手伝いに来てくれた。

 

ひさしぶりの再会に、トキコのテンションも浮上~。

賑やかに片づけをしていると、革ジャンを着た父がやってきた。

トキコに言われてちゃんと着替えてくれたようだ。

 

父は『日本航空のハッピが出てきたら捨てないで取っておいてくれ』とトキコに頼む。

ビートルズが来日したときに着ていたのと同じデザインなのだ。

 

夕飯はお寿司でもとりなさいと出かけていく父。

しかしそんなお金がどこにあるというのか。

『ったく、外面だけはいいんだから』と、トキコは悪態をついた。

 

でも内側から見るのと外側から見るのでは、視点も違う。

まったく引っ越しに協力的でない父も、ミナミからすれば、

『まだ心の整理をつけたくないだけなんじゃない?』

 

言われてみればたしかにそうだ。

あの頃の父はまだ目の前の問題と向き合えずにいた。

 

心の整理をするために家を片付けるトキコとは反対に、

心の整理のつかない父は、荷物の片づけもできずにいたのだ。。

 

原稿が書けなくなったトキコ

そこまで書いたところで、トキコは原稿がいっこうに進まなくなった。

喫茶店で編集担当の今西と話しているうちに、トキコは思い出した。

 

北野たちと片づけをしていたあの日、思いがけないものが押し入れから出てきたことを!

 

ずっとそれを忘れていたトキコは深いため息とともに、今西が心配になるほどにうなだれる。

 

しかし次の瞬間、トキコはその時のことを書こうと決心し、急いで家に帰りパソコンに向かった。

 

けど『ああ…!』やっぱり書けない。

 

めがねを取り、ノートパソコンを乱暴にしめると、トキコは2階の寝室に向かった。

 

クローゼットには、あの時北野たちと分けた「持っていくもの」が入ったダンボールが見える。

トキコは荒々しく、その下にあった衣装ケースを取り出した。

 

封印された記憶

20年前。

トキコたちは押し入れから母の衣装ケースを見つけ、フタを開けた。

『これは大物だな~!』と宝箱を見つけたような、そんな軽い気持ちで。

 

すると現代のトキコの前に、20代のトキコが現れて言った。

 

「本当に忘れていたの?」

 

『忘れてた』

「ひどいな…」

『だって忘れなきゃ前に進めなかったんだもん』

 

すると20代のトキコは笑って、「そりゃそうだろうけど」とトキコの手に自分の手を重ねた。

 

ズズッ、ズズッと衣装ケースの重たいフタを開ける20代のトキコ。

中を見てトキコは思わず後ずさる。

 

「それで前に進めたの?お父さんのこと、許せたの?」

 

『ごまかしてただけかもね…』

でもトキコは書こうと思っていた。

そうしたら本当の意味で前に進めるような気がして。

 

20代のトキコは静かにうなずき、衣装ケースのフタに手をかける。

トキコがそのフタに手を伸ばすと、時は一気に20代のころに戻った。

 

母の秘密

『よいっしょ!』

重たいフタを開けると、中にはぎっしり袖を通していない新品の服が入っていた。

しかもそれは普段の母からは考えられないような華やかなものばかり。

1番下には、100万もするミンクの毛皮が入っていた!!!

 

これまでずっとトキコはそれを避けて生きてきた。

黙り込むトキコを見て、北野とミナミはハッとする。

トキコは慌てて『うちってお金持ちだったんだね~』と笑ってごまかした。

 

『お母さん、きっと寂しかったんだね…』

 

ミナミが言った言葉に反論できなかった。

トキコがずっと避けてきた認めたくない事実。。

母は、寂しかったということに。

 

それを思い出し、トキコは『やっぱり書けない!』と机に突っ伏した。

書けば書くほど、父にムカついてしょうがない。

やっぱり父を許せないかもしれない。

 

すると「許さなくてもいいよ。許さないまま書けばいい」と20代のトキコが言った。

 

・・・怒りも、哀しみも、悔しさも、

あの頃の自分にはどうすることもできなかったから。

だから「私のぶんまで書いてよ」という20代のトキコ。

 

その言葉に突き動かされ、トキコは書いた。

 

商品札がついたままの服は、母の寂しさそのものだった。

別の女と関係をもち、家庭を顧みない父に開けられたぽっかりと空いた大きな穴を、母は父が稼いだ金を使って埋めていたのだ。

その寂しさを金に換算したら、数百万でもきかなかったということか。。

 

書きながら辛くて、トキコは嗚咽した。

 

母が押し入れにひた隠しにしていた秘密を、トキコは暴露してしまったのだ。

 

月明かりに照らされ、20代のトキコに抱きしめられ、泣くトキコ。

よしよしと優しく頭をなでられ、トキコはまた続きを書いた。

 

 

「母は最後まで自分の寂しさを脇に置き、父と私の幸せを優先させるような人だった。」

 

父とケーキとラム酒と涙

原稿を描きあげたトキコは父のマンションへ。

明るい部屋で、文鳥がピチュピチュさえずる声がする。

 

トキコは父のため、甘いロイヤルミルクティーを作り、買ってきたケーキを取り出した。

満足そうに食べようとする父に向かって、トキコはミンクのコートを差し出す。

 

値札を見た父はびっくり!

『100万って…』

『お母さんが持ってたの』

淡々とトキコは言った。

父には言ってなかったが、引っ越しの時に押し入れから出てきたと。

それだけじゃなく、セーターとかワンピースとか1度も袖を通したことがない新品がたくさん出てきたと。

 

トキコは認めたくなかった。

あんな明るいお母さんが「寂しかった」なんて。

絶対認めたくなかった。

 

『そうだよな、ママ、かっこよかったもんな』

 

でもそうやってトキコたちは、母を神様みたいに理想化しすぎていた。

母も人間だ。

だからもうやめよう、お母さんのことを綺麗ごとで片付けるのは。。

トキコは父に告げると、ミンクのコートを紙袋にしまった。

 

そのとき、食べたケーキの味はラム酒と父の涙がしみた、ほろ苦い味になった。

あとからあとから涙があふれてくる父に、ぶっきらぼうにトキコはハンカチを渡す。

 

父はハンカチで涙をふくと、

『うまいよ、うまい』

とトキコを見て笑った。

トキコも『うふふ』と笑いながらケーキをがっつく。

その目にはいつしか涙が浮かんでいた。

 

心からの叫び

今夜の「トッキーとヒトトキ」の話題は、先週「人に嫉妬してしまい、困っている」と相談してきたリスナーからの返事だった。

 

彼女の言葉には心に迫るものがあり、本でも書けばいいのにとスタッフたちは思った。

 

トキコは母のミンクのコートを着て家に帰る。

その帰り道、担当編集の今西から電話があった。

 

『なんというか、力強い原稿でした…』

 

 

第十一話

不在とか

崩壊とか

人間とか

 

 

外は冷たいけれども優しい雨が降っていた。

 

 

~次回、最終回につづく~

 

 

『生きるとか死ぬとか父親とか』11話の感想

↑ 吉田羊さんのこの表情!最高ですね!笑

今回は吉田羊さんと松岡茉優さん、40代のトキコと20代のトキコの時を超えた自問自答に胸を打たれました。

 

そこまでして自分の気持ちと向き合い、母が隠してきた気持ちと向き合い、原稿を描きあげ、最後は父にそのことを伝えたトキコ。

 

言葉は短く、多くを語らないトキコだけど、

100万のコートとそれを母が持っていたことを知り、父はすべてを悟ったようで。。

 

ラム酒のきいたケーキと、父が大好きな甘い甘いロイヤルミルクティー。

思わずこぼれ落ちた父の涙に、トキコの長年抱えていたわだかまりも少しは軽くなったのではないか…。

 

それこそ、20代のころのトキコが父に対して意地悪く、父が晩年、この家を売ったことを後悔して泣く姿を想像していたように。。

流した涙は全然違うものだったけど、きっと20代のころのトキコの想いも浄化されたに違いない。

 

過去と現在、未来のトキコと父、2人の心がつながり、解き放たれたような瞬間だった。

 

後日、トキコは母が袖を通さなかった100万のコートに身を包み、ラジオの収録に向かう。

誰かの苦悩は時に人を苦しめるけど、私もそうだと想いを共有することで誰かを勇気づけることにもなる。

 

本当のことをありのままに語るのは本当に難しい。

受け入れられるかどうかもわからない。

それでも乗り越えなきゃいけないものがある。

それがトキコにとっては「書く」という行為だった。それだけだ。

 

今回、私はドラマを通してトキコやドラマに関わるすべての人たちの想いを感じ、前に進む勇気をもらった。

 

お母さんの抱えていた秘密は自分の想像を超えていた。

それを入院する前に処分しなかったのは、お母さんの気づいてほしいという願いだったのかもしれない。

それでも生きているうちは誰にもそんな寂しさに気付かせまいと、いつも明るく振る舞っていた、その強さに敬服するし、自分にはとてもできないと悲しくなる。

 

毎日、娘にかける言葉を間違ったと後悔する日々。

子供のころにうけた言葉は、大人になってもずっと覚えているものだから。

なんとかしたいと思いながらもうまい言葉が出てこない。

その葛藤といったら!!!

 

ただ、すくすくと元気に育ってくれたらいい。

それだけなのに。

私もこうして書くことで救われている1人なのです。

 

それではここまで読んでくださり、本当にありがとうございました\(^o^)/

またの~。

 

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